ミラーコンポーネントの計画
ミラーには、データの同一のコピーが最大 4 つまで独立して含まれています。それらのコピーはそれぞれ分離されているが同等であるミラーコンポーネントに格納され、それらのコンポーネントにアクセスすることによってミラー全体が管理されます。ミラーコンポーネントはミラーの独立した部品であり、データと容量の両方が同一です。ミラーコンポーネントに対して行う操作は、他のすべてのミラーコンポーネントにも加えられたり、その逆が行われて、同期化されます。
たとえば、分割ミラーコンポーネントを再結合してミラーに戻すと、同期化 (再同期化) されて他のミラーコンポーネントが反映されます。再同期化プロセスが完了すると、ミラーは各コンポーネントが同一のデータを持つ独立したサブエンティティとなっているエンティティに再び戻ります。
ミラーを作成するには、新しいミラーボリュームを作成するか、既存のボリュームをミラー化してから、他のボリュームを等価なミラーコンポーネントとして追加します。
プロセスを開始する前に、次の点を決定してください。
- ミラーを構成するミラーコンポーネント 次の制限事項に注意してください。
- ミラーコンポーネントはサイズが同一の必要があるため、追加する各ミラーコンポーネントのサイズがミラー内の他のコンポーネントと等しいことを確認する必要があります。
- ストレージドメインを越えたミラーはできません。
- 元のミラー化ボリュームの容量 (主コンポーネント)。この容量は、ミラーに追加される新しいミラーコンポーネントの場合と同じです。
- ミラーコンポーネントに適用する分離ポリシー
- 必須 - ミラーコンポーネントをそれぞれ独立したアレイに配置します。
- ミラーコンポーネントが別のアレイにある場合、データ保護のための冗長性保護が最高になります。
- 任意 - ミラーコンポーネントを同じアレイに配置できます。
- ミラーコンポーネントが 1 つのアレイをミラーの一部と共有していることが分かっている場合は、分離ポリシーを「任意」に設定する必要があります。
- ミラーコンポーネントが同じアレイにある場合は、アレイまたはアレイへのアクセスに障害が発生した場合の、各ミラーコンポーネントに関するデータセットの冗長性が低くなります。これが問題となる場合は、「必須」を選択したほうが安全です。
- 再同期化の優先順位の設定。再同期化によって各コンポーネントは同期化され、他のコンポーネントと同じ内容になります。再同期化は、ミラーに対して操作を行うごとに実行されます。この設定は、システムで入出力動作または再同期化を高い優先順位にするかどうかを決定します。
- 高 - ミラーの再同期化が迅速に行われますが、ホストの入出力動作の速度が大きく低下することがあります。
- 中 - 入出力動作と再同期化プロセスのバランスがとられ、実行されるすべてのジョブの速度が安定して向上します。
- 低 - ミラーの再同期化に時間がかかりますが、ホストの入出力動作の処理が迅速に行われます。
- ある時点でのデータの状態を得るために、分割ミラーコンポーネントとボリュームスナップショットのどちらを使用するか。
- 分割ミラーコンポーネント - ミラー内に存在するデータの状態を入手するために、ミラーからミラーコンポーネントを分割し、それをある時点のデータの独立したコピーまたは参照ポイントとして保存します。ミラー化ボリュームのスナップショットは (データが変更不能のため) ロールバックできませんが、ミラーコンポーネントを分割し、あとでミラーに再結合する方法があります。また、他のミラーコンポーネントを分割したコンポーネントのデータへ同期するため、以前に分割したコンポーネントに対して逆再結合操作を実行することもできます。分割ミラーコンポーネントには、スナップショットリザーブ空間の制限はありません。
- ボリュームスナップショット - ボリュームスナップショット機能は、システムのスナップショットリザーブ空間に存在するデータの、正確なある時点の状態を追跡する方法として最も有効です。ミラー化ボリュームのスナップショットリザーブ空間は、他のボリュームと同様に変更できます。ボリュームスナップショットが古いほど、そこにあるデータは変更されている可能性が高くなります。スナップショットとスナップショットの間でボリュームが大幅に変更されていると思われる場合は、分割ミラーコンポーネントのほうが適しています。詳細については、スナップショットについておよびスナップショットの管理を参照してください。
- 選択したミラーコンポーネントにスナップショットリザーブ空間がなく、スナップショットを作成する必要がある場合の、スナップショットリザーブ空間の割り当て方法。詳細はスナップショットおよびスナップショットリザーブ空間の計画を参照してください。
注 : ミラーでは、ミラー構築のために作成した最初のミラー化ボリュームの WWN (ワールドワイドネーム) が前提となっています。これは 64 ビットの数値による一意な識別子で、命名機関、メーカー、および特定の接続を識別するものです。ミラーに追加した既存のボリュームは、作成した最初のミラー化ボリュームの WWN を保持します。
関連項目